ブーツの楽しみ方は人それぞれ、色々あると思いますが、そのうちの一つが「お手入れ」。
カサカサになったアッパーが、瑞々しく艶が復活していく様は何とも言えない楽しさがあります。
ただ、自分でそこまで履き込むのって、ちょっと時間がかかり過ぎるんですよね。こまめにお手入れしてしまいますし。
ということで。
えぇ。買っちゃいましたよ。中古のトリッカーズ。
綺麗に磨きたいんです。
「っこれが…こんなに?!」
ってやつがもうやりたくて、やりたくて。
そんな今回のエントリー「ボロいTrickersを復活させたい!」
スタートです。
購入したのはエイコーンのカントリーブーツ!
早速開封してみましょうかね~。
デデン!
トリッカーズといえば、この色、エイコーンアンティーク。もちろんウィングチップです。良い感じにヤレていますね。
もともと私が所有しているのはエスプレッソという焦げ茶色。
それもシックでカッコ良いんですが、さすがに今回は別色を。お手入れのビフォーアフターも映えそうです。
写真でも判る通り…
かなり退色しています。
表面は艶も無く、幾分カサついているようにも見えますね。
ムフフ…
これは楽しくなってきました。
バックショット。
色が薄くなっている以外に大きな問題は無さそうです。
コバは少しだけ荒れていますが、削る程ではなさそう。
今回はあんまり無茶はせず、丁寧に復活させたいと思っています。前回の大失敗がありますし笑
クリーニング開始!
シューレースを外してホコリを落としたら、クリーナーで綺麗にしていきます。
「Mモウブレイ ステインリムーバー」
この退色具合を見ると、おそらく色付きクリームは使用されていなかったと思われますが…
予想どおり拭きあげたウエスは綺麗なまま。
このまま全体をスッピン状態にしましたが、見た目はほとんど変化なしです。
油分補給で質感が復活!
次は革の栄養補給です。
カラカラに乾いたアッパーに瑞々しさを復活させる大事な工程。
「Mモウブレイ デリケートクリーム」
革の化粧水ですね。不要だと言われることもあるクリームですが、私は経験上必ず入れるようにしています。
仕上げクリームのノリも良くなるイメージ。
いや、めっちゃ吸うやん…
私物のエスプレッソは顔料塗膜が厚く、なかなかクリームが入っていかない印象でしたが、こいつは塗った傍から色が変わってしまうぐらい吸い込んでいきます。
経年変化なのか、そもそも製造時期で仕上げが違うのか…
このままオイルも塗布してしまいます。
「LEXOL レザーディープコンディショナー」
仕上がりがべたつかない、あっさり目の液状オイルです。
が…
いやいやいや。
めっちゃ吸うやん…
このままシミになったらどうしようか、ってぐらいグングン入っていきます。
思いっきり豚毛ブラシでマッサージして、無事終了。
心配していたシミにもならず革はモッチリ、色味もほんの少し濃くなりました。
仕上げクリームでツヤ感+〇〇
革のふっくら感は復活したんですが、やっぱりトリッカーズには艶が無いと。
準備したクリームはコチラ。
「Saphir サフィール クレム1925 コニャック」
ギラリとした艶感に定評があるフランスの定番クリームです。
補色の際は元の色と同じか少し薄目を選ぶのがセオリーなんですが、所有している中で一番薄いカラーがこの「コニャック」。
…ま、嫌な予感がしますよね。私もです。
明らかに色が違います。
うん。
なるほど。
嫌な予感がしますね~(2回目)
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猪突猛進。
このまま左足のみ塗りきりました。
で、いつも通り、化繊ブラシ+ネル生地ウエスの乾拭きを実施。
時間をかけて力いっぱいブラッシング。革の内部に叩き込むイメージ。
うぉりゃ~
ネル生地ウエスでしつこいぐらい拭き取りました。
結果は…
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いいんじゃないですかっ!
明らかに一段濃くなりましたが、「もともとエイコーンってこんな色だったよね?」ってぐらい自然です。
仕上がりが楽しみになってきました。
見落としがちなソールもメンテ
革靴のアッパーを絵だとしたら、コバは額縁。額縁が汚ければ絵画の魅力は半減します。
ということでコイツの出番。
かっさ棒です。
少し表面が荒れているぐらいなので、ヤスリがけは無し。毛羽立ちを抑えるように擦ります。
仕上げはワックス。
コバ周りにしっかりと塗り込んで、コバのお手入れは完了。
今回はレザーソールなので、接地面もメンテしていきます。
「Saphir サフィール ソールガード」
初登場のメンテグッズ。適度に油分を与えることで摩耗に強く、かえりも良くなるとか。
ケチって普通のオイルを入れるのは危険ですよ。靴底がツルツルなほど怖いことは無いですから。
ウエスに適量とって塗り込みます。
あ、結構吸い込むんですね。
このまま全体に塗り込んで…
かっさ棒で荒れた表面を馴らします。
前後左右、様々な方向から押し込むように擦ることで、少し強度を上げるイメージ。
さぁ、これにてメンテ終了です。
仕上がりとサイズ感は…?
それでは…
どんな仕上がりになったのか…要注目!?
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良いっ!!
革のハリ、艶、見違えるようです。
何と言ってもクリームによる補色が想像以上に効いていますね。
これは満足度100点を超える仕上がり。ムフフ…
バックショットでは履き込まれた貫禄と艶が合わさって、雰囲気抜群。
1つ1つの工程を無理はせず、丁寧に行った結果ですね。
はぁ~、無茶シリーズにしなくて良かった…笑
さて足入れ。
私の足のサイズは実寸で 足長:257mm 足囲:253mm 足幅106mm。
今回購入したのはUK8のフィッティング5です。
所有しているエスプレッソは「UK7」でかなりタイト。
おそらくはUK7.5がジャストサイズだと思っていますが、中古ブーツなので一期一会ということで。
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あれ?
すんげージャストサイズ。
高さにはすこし余裕があって、靴紐を締めると羽根がほぼ閉じてしまいますが、US8のアイアンレンジよりフィット感もあります。
え?
マジか。
今まで1サイズも間違ってたの!?
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…いやいや、待てよ?
そういえば昔聞いたことがあります。
Trickersは商流によって、UKサイズ表記とUSサイズ表記が混在しているとか。
おそらくこれはUSサイズ表記。US8≒UK7.5と考えればこのフィット感も納得できます。
傷んでいたシューレースも交換済み。
ほぼ閉じ切った羽根も悪くないですね。まぁこれ以上沈み込んだらアウトなんですが。
いや~、
メチャクチャ良い感じです!
コバも輝いてブーツ自体の存在感を際立たせています。
シャフトの凹凸、ヴァンプのシワ感…
ハリとツヤも共存する、もはや高級感すら漂う仕上がりです。
思っていたよりジーンズに合いますね。うん。ものすごく合います。
今まで薄茶のブーツはカジュアルになり過ぎて難しいなぁ、と感じる事も有ったんですが、これは別格。
やや丸みのあるシルエットとはいえ、ワークブーツと比べれば断然スマートですし、フルブローグで華やかなアッパーはドレッシーさも感じます。
まとめ
普段から靴のお手入れは楽しんでやっていますが、さすがにこれだけ変化があるとテンションが上がりますね笑
クリーニング、油分補給、補色、と基本的なところを丁寧に行うだけで靴は見違えるということ。改めて身に沁みました。
一番予想外だったのはサイズ感。
絶対大きいと思っていたのがまさかのジャストフィット。今回は良い方に転がりましたが…
これが試着無しで中古ブーツを購入する怖さ。
特に中古Trickersのサイズ表記には要注意です!
それではまた。