700円で手に入れたボロいスエード靴を復活させる、後編です。
前回は自力でライニングの穴を塞ぎましたが、いよいよここからが本番。というか、これをやりたくてスエード靴を探していたんですよね。
オイルとクリームで思いっきり質感を変えたい!!
いわゆる「オイルバケッタ風」レザー加工に挑戦です。
現状の再確認と加工の準備を
まずは加工前の履き古した状態を確認しておきます。
毛羽立ちが強くなったつま先と、寝てしまったシワ部分。どうしても汚く映りますね。
起毛素材であるスエードは、長年使用すれば毛が寝てしまい、場合によってはテカリに見える事も有ります。
真鍮ブラシで毛を起こしてあげるのが対処の基本なのですが…
「いっそ全部寝かしちゃおうぜ!」
というのがこの加工。
履きシワ部分もしっかり加工できるようにシューツリーをセット。
ホコリやごみがついたままだと、この後の加工で油膜の奥に閉じ込めてしまうことになるので、しっかりと表面の汚れをブラシで除去して準備完了です。
オイルをブッコみます!
瓶詰めのミンクオイルのような半固形のオイルではベタツキが強すぎてうまくいかないそう。
まずは定番のコチラで。
「Lexcel レクセル レザーコンディショナー」
サラッとしたミルク状のオイルで、求められる条件に合致しているはず…
ただし、ここからは片道切符。オイルを入れてしまえば2度と元のスエードは戻らないので覚悟が必要です。
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えぇい!
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めっっっちゃ吸います。
ドンドン色が濃くなりますが、負けじとオイルを足していきます。
ポイントは「毛を潰す」ように押さえつけること。
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おぉ。
かなり表情が変わりました。
オイルを入れたことで全体的に色のトーンが暗くなって、茶からダークブラウンに。
アッパーはまるで粘土のような独特な質感です。
ただ完全にスエード感が無くなったわけではなく、加工の深さにもムラがありそうです。
靴クリームで更にツルツルお肌へ
色ムラも気になりますし、せっかくなら完全に質感を変えたいとも思います。
ということで。
「Mモウブレイ アニリンカーフクリーム」
ちょっとロウ分が多めのクリームでペタッと毛を寝かしつける作戦です。
ちなみに色付きクリームだと、拭き取るのが大変そうなので無色を選択。
指で直接ヌリヌリ…
グングン吸い込みますね。
通常の表革をメンテする場合に比べ、使用量は段違いです。吸い過ぎて高いクリームは使いたくないレベル。
写真手前が加工後。
…テッカテカやがな。
両足に塗りたくった後、このまま数時間放置します。浸透する時間を作って、落ち着いてくれるのを信じて待ちます…
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どうだ!!
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かっこえぇぇー!!
色が濃くなった部分とシワ部分に濃淡が出て良い感じ。鈍いツヤが出ていますね。
起毛感がソフトな印象を与えるスエードだったんですが、ここまでくればもうワークブーツ的な力強さを感じます。
このまま完了でも十分な仕上がり…なんですが、そもそも実験の要素が強い今回のエントリー。
それなら…
ワックス注入で更にツヤを…光る?
次に準備したのはコチラ。
「Collonil コロニル レザーワックス」
保革成分も入った登山靴用チューブワックスです。
普通のワックスとは違い、屈曲部に塗っても割れるようなことはありません。これなら更にツヤツヤに変身できるかも。
これを指で直接塗り込んでいきます。
またワントーン濃くなりそうですね。
両足ともまんべんなく塗り込んで、シューレースを通したら…
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完成です!!
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シブいツヤと独特な質感。
当初の薄汚れた印象はどこにもありません。
これが元はボロボロなスエード靴だったとは…初見では絶対分からないくらいの大変身。
めっちゃ楽しいっ~!
ワックスが効いたのか、色ムラはほとんど感じません。
そのせいで荒々しさが削がれて、ワックス前よりちょっと大人しくなった印象です。
近くで見てもスエードの毛はほぼ均一に寝かしつけられているのが分かります。
【加工前】
かなりくたびれた印象だった元の状態とは雲泥の差。
微妙な凹凸が感じられる面白い質感になっていますね。
スムースレザーともスエードとも違う…
コンクリートのような肌理。この表現が一番しっくりきます笑
ジーンズと…着画タイム!
じゃあいつものようにジーンズに合わせてみましょうかね~。
チャッカブーツなのでロールアップ無しの綺麗目な感じで。
遠目でみれば普通のオイルレザーみたいです。
カラーは完全にダークブラウン。スエードの時とは全く別の色。
どことなくビンテージな印象もあります。
自力で加工しているのでどうしてもムラになってしまいますが、逆にそれがアジになって良い感じ。
このシワの出方、スエードの起毛感はゼロです笑
普通のスムースレザーのように、フォーマルな場では出番がありませんが、ワークブーツ好きには絶対ハマる「男臭いカッコ良さ」がありますね。
正直言うと、ワックス前が一番荒々しくて好みの質感でしたが、まぁこのまま履いていれば、そのうち油分が抜けて荒々しさも戻ってくるはず。
まとめ
加工直後は、結構ベタツキがあって心配しましたが、それも数日寝かせれば落ち着いてきました。
特に難しい技術も必要ないですし、かなり簡単な加工でこれだけの変化。さらに仕上がりはワークブーツファンに刺さるカッコ良さとなれば…これはもうオススメするしかありません笑
【加工前】
これが…
こうですよっ!
大量の油分を入れているので雨にも強く、ぶつけて毛が起きてしまってもクリームで元通り。タフな使い方にも応えてくれるはず。
履き込んでからの変化も楽しみです!
最後は独特なシワをアップで。それではまた。