無事に一軍復帰して1ヵ月。「このまま高耐久のビブラム700が擦りきれるまで履きまくろう!!」と決意していた8131カスタム。
張り切って通勤にも何度か登板させた結果…
・・・足、めっちゃ痛いんですけど。
朝は特に何も感じないんですが、問題は帰宅の時です。ブーツとじゃれあう貴重な駅からの15分が地獄のような時間に。
何とか履き馴らそうかと思っていましたが、そもそも履く気すら起きなくなる始末で、このままだと靴箱の番人へ逆戻りしそう。…これはマズイ…
というわけで、今回はブーツのストレッチに挑戦。1ヵ月の奮闘記です。
シューストレッチはお店に出すべきか
シューストレッチは意外とメジャーな修理メニューらしく、お店に頼むと2000円程度と結構安めなんですよね。
幅出しともいわれるように、横幅を伸ばすように広げていきます。…2000円かぁ。で素人の私は思うわけです。
「自分でもできんじゃね??」
さっそくソールを洗浄して自室へ持って上がりまして、まずは方針を検討。
タイトフィッティング好きの宿命なのか、これまでも狭いと感じるブーツはいくつかありました。ただどれも履いているうちに痛いところは無くなって…というのがお決まりのパターン。
つまり、強引にこの「無理して履いてる状態」を作ってやれれば、履き心地は改善するはず。
こんな商品も売っていますね。要は革を柔らかくして圧力をかけることで変形させてしまおうという発想です。
ただ量を間違うとアッパーがふにゃふにゃになってしまいそうですし、変形させすぎたりしたら見た目がカッコ悪くなったりしないの?…と不安な部分もチラホラ。まぁ数千円が惜しいのが本音
この辺に気を付けながら、今回は手持ちのアイテムで工夫してみようと思います。
革を柔らかくするには…コレ
まずはアッパーの革を柔らかくしないといけません。無理をして革が裂けたりしたら目も当てられませんから。
で準備したのはこちら。
「M・モウブレイ デリケートクリーム」
革の柔軟性を保つためのクリームですが、塗り過ぎれば柔らかくなりすぎて型崩れの原因になることもあるとか。…って今回は逆に好都合です笑
クリームが浸透しやすいようにしっかりとクリーニングをして…
ベッタベタと塗りまくりますよ~。
今回は内部にもたっぷり投入。両側から攻められてはさすがのRedwingでもフニャってくるでしょう。
さらに「Bootblack リッチモイスチャー」も大量投入。
オイルドレザーに油分補給は必須ですが、当然これも入れすぎるとヘナヘナになります…うんうん、ヘナヘナにしてあげよう!
少し乾いていたようで、どんどん吸い取っていきます。大丈夫かいな。
まぁとにもかくにも、準備完了です。
ストレッチ開始!強度①
「全体のイメージを変えず、幅だけ少し緩くしたい」という我儘な希望を叶えるべく、用意したのは大き目のシューツリー。
もともとハーフサイズ大きいアイアンレンジ用にしていたシューツリーで、これがすんなり出し入れできるぐらいになれば、ストレスフリーになります。
無理はせず、あくまでも変形は最小限に。
結構力を入れて押し込みました。ご覧のようにほぼスプリングが縮み切った状態。しっかり圧がかけられています。
…さてどうなるか。1週間放置します。
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で、1週間後。
ワクワクしながら試着。
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いやお前、全然変わってないやん。ワロタ
これでどうだ!ストレッチ強度②
うんうん、まぁここまでは想定の範囲内です。
大き目のシューツリーとはいえあくまで「型崩れを防止」する為のもの。そのまま使用してもストレッチするほどの圧力は加わらなかった模様。
それならば…
「ツリーに靴下を履かせる大作戦」
靴下の分だけ厚みが増して、前後左右に更に圧が加わるはず。もう一度デリケートクリームを追加していざ勝負。
グッと押し込むようにブーツ内に挿入しました。
先ほどとは明らかに違う手ごたえ。これは革が伸びそうです。…いやもっといけるかもしれない。
おりゃー、靴下2重作戦だぜー!
ねじ込むようにシューツリーを挿入して、アッパーはパンパンに膨らんでいます。もはや完成したらガバガバになってしまう可能性までありそう。
まぁそうなったら厚めの靴下で調整しても良いですしね。
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1週間後。
ユルユルになっているかもしれない不安を抱えながらの試着です。
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何一つ変化なし。
・・・もうなんか、逆にスゲーわアンタ。
そっちがその気なら…ストレッチ強度③
やはりシューストレッチャーを買うしかないないのか…いや、ここまできたら引き下がれません。やっぱり数千円は惜しい
靴下シューツリー作戦は全体に圧をかけていると思っていましたが、もしかしたら縦方向にだけ力が加わっていた結果かもしれません。
幅出し、つまりアッパーを横方向に広くするために力を加える事。
基本に立ち返ってもう一度作戦を練り直しました。それがこれ。
「靴下オリオリ大作戦」
くるぶし丈のソックスを折りながらシューツリーの前部に集中させます。更に生地の厚いソックスの底部分が靴の外側に当たるように回転させています。
シューツリーの長さには影響を与えず、履いた時に痛みを感じる小指側、これをピンポイントで横に押し広げようという魂胆です。
シューツリーをブーツに押し込んだ時にずれてしまわないように、もう1枚の靴下を被せて準備万端です。
グイグイ押し込みながらブーツに装着。かかと部分が押し込めないかと思ったほどパツパツになりました。
祈りを込めて1週間待機です。
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1週間後。
痛みが・・・ない!!!
やっと、やっとです。やっと効果を感じることができて、もうね、ちょっと感動ですよ。
完全に当たる箇所が無くなったわけではありませんし、長時間履けばもしかしたら痛みが出る部分もあるかもしれません。
ただ明らかに楽になって、これはもうガシガシ履けるレベルと言えるぐらい改善されています。いや~素晴らしい!
成功のポイントとまとめ
履き心地問題はクリアしましたし、来週から復帰させるためにも靴クリームで仕上げを。
少し色褪せが目立つので、クレム1925「バーガンディ」をチョイス。ワントーン暗めのクリームで補色しながらビンテージ感もプラスしました。
うん。イメージどおりの良い仕上がり。
さて、いつにも増して無茶なメンテになった今回の「自宅シューストレッチ」。
ダメージが心配でもありましたが…
一番負荷が高かったであろう羽根の付け根から側面も、ご覧の通り何も問題なく完了して一安心です。
改めて今回の作業を振り返ると
・ワークブーツとしての縫製やレザーの頑強さ
・油分含有量が多く、変形しやすいオイルドレザーであったこと
この2つが成功のポイントだったように思います。
美しく繊細なドレスシューズに同じストレッチをしたら…恐ろしいことになるやもしれません。素直にお店にお願いするほうが良いんでしょうね~笑
最後はテンションが上がって撮影した着画です。それではまた。