1829年創業、190年以上の歴史を誇るイギリスの老舗トリッカーズ。
靴の聖地ノーサンプトンに工場を構え、1人の職人が製作工程の最初から最後までを担当する「ベンチメイド」という手法でで製作されている・・・
と聞いていたんですが、どうやらそれはビスポーク(オーダー)のみのようです。
また英国王室御用達(ロイヤルワラント)としても有名で、約20年前に当時の皇太子妃であった、故ダイアナ妃のオススメで、チャールズ皇太子の愛用靴となったと言われています。
このようなトリッカーズが歩んできた歴史、ストーリーは靴好きの心を踊らせてくれます。
まずは現在の私物モールトンの姿を。
トリッカーズといえば明るい色味のエイコーンカラーのイメージがありますが、私が所有するのはエスプレッソバーニッシュという、ダークブラウンカラーです。
少しカッチリしたいときに履く用で、出番が多い方ではありませんが、少しずつエイジングが進んできています。
下駄箱がワークブーツだらけになった時、キレイめなブーツが欲しいなぁ…と思ったのが、トリッカーズを購入するきっかけでした。
とはいえ、デニムに合わせるのでドレス感が強くなり過ぎないようにしたい…
という狙いにドンピシャのブーツです。
今や世界的な定番である同社のカントリーブーツを、私物の写真を中心にレビューします。
トリッカーズ カントリーブーツのディテール
真上からの写真です。
まずはこのブーツの顔ともいえるフルブローグ。別名ウィングチップといわれるように、つま先から羽根を広げたような飾りがあります。艶感のある革質とよく合って美しさを感じます。
メダリオンやパーフォレーションと呼ばれる穴飾りも華やかさをプラスしてますね。ただ、アッパーの濃茶が派手になり過ぎないバランスを保っています。このカラーをチョイスした狙いでもあります。
シルエットはイギリス靴らしい、ややぼってりとした丸みがあって、コバの張り出しも強く、無骨な印象。
他のブーツも検討していましたが、決め手になったのは堅牢さ、丈夫さの評判の高さでした。このあたりはもう少し履いてから評価したいと思いますが、現時点で不安な箇所はありません。
履き口にはプルトップが付けられていますが、実際履く場面で引っ張る事は稀ですね。ココが千切れたという話もよく聞きますので。
靴の内側には足触りの良いレザーライニングが貼られ、さらに担当した職人の味のある直筆が。
モデル名とサイズ表記ですが、・・・落書きみたいです笑
アッパーの革質とエイジングによる変化
アッパーに使用されているのは厳選された、上質なカーフスキン。厚めの塗膜で硬質な艶を持った美しい革。
…見た目通りのバリ硬です笑
その分ハリのある美しい艶になります。
それでいてシワはガラスレザーのように汚くならず、落ち着いた高級感も併せ持っています。
エイジングが進むと色抜けが起こるのもこの革の特徴で、特にこのエスプレッソカラーはその傾向が顕著なようです。
それもまたカッコいいエイジングなんですが、個人的にはこの色味が好きなので、色付きのクリームでメンテしています。
ダイナイトソールと履き心地
ソールはダイナイトソールです。
イギリスのハルボロラバー社製のこのソールは、1910年の発売から殆ど形を変えていないそうです。こちらも長い歴史っ!
トリッカーズの同モデルでダブルレザーソールのものもありますが、ハードに履く為には雨上がりでも滑りにくい、ラバーソールの安心感は大事です。
比較的減りやすいと言われていますが、私のものはまだまだ大丈夫そうですね。ちなみに丸い凹凸が無くなってきたら交換時期だそうです。
コバはキレイに整えられていて、レザーミッドソールとあわせてドレッシーな印象です。
ストームウェルト仕様でカントリーブーツとしての顔もしっかり持っています。
レザーの積み上げがあるヒール部分も美しい仕上がり。どちらもワークブーツとは違う魅力ですね。
履き心地は硬めで、ソールの返りも良くありません。ただこれは履き込めば改善されていくようです。
最初は木の板のようだったこのブーツの履き心地も、だいぶ靴らしくなってきました。「履き込めば、吸い付くような履き心地になる」とも聞きますので、もう少し履き込んでみます。
トリッカーズ カントリーブーツのサイズ感
私の足のサイズは足長:257mm 足囲:253mm 足幅106mm
こちらのブーツはUK7を履いています。
ワイズはフィッティング5。E~EEのサイズ感。
購入当初は正直、完全にサイズをミスったと…。
少し歩くだけで踵も爪先も痛くて、履いて外出する気にはとてもなれませんでした。
何度家で履いてみても、靴下の厚みを変えてみても改善されず…一時は買い直しも考えました。
何日か過ぎていっその事、無理矢理ストレッチ履きしてみようかと思い、インソールを敷いてみました。足を入れてみると
…あれ?歩けそうかも!?
不思議な感覚でした。これまで三歩も歩けなかった靴が、あちこちに痛みはあるものの履いて出かけられるくらいのフィット感に。
恐らく私の足に対して、ワイズや甲の高さが合っていなかったんでしょうね。それでも厚い靴下で履けないのは変わりませんが。いい経験になりました。
使用されているアッパーはかなり硬めで、ワークブーツに使われているオイルドレザーなんか、フニャフニャだと思ってしまうぐらい。
ただこれも少しずつ馴染んできました。靴下さえ間違わなければ一日中履いていられます。
トリッカーズカントリーブーツまとめ
トリッカーズのカントリーブーツには、私の所有している「MALTON」の他に「STOW」がありますが、現在は同じものだという事です。ネットショップでもそのように案内されています。
元々はシーシェードカラーのgorse calf leatherのみをモールトンとしていたようですが、では私のモールトンは普通のカーフなのか、ゴースカーフなのか…?カラーはストウにしかないはずのエスプレッソ。でも表記はモールトン…謎ですね。
まぁ、細かい事はいいんです。私はこの革のなんとも優美な艶が大好きなんです。名前はどっちだろうが気にしない事にします笑
修行ともいわれる履き始めの時期さえクリアできれば、10年、20年履ける存在になり得るトリッカーズ。
ぜひ履いて頂きたいオススメブーツです。
最後は着画を。ではまた!