通勤ブーツとして長く履いていたH2VOLTがそろそろ限界という事で、代わりのブーツを何となく探し始めたのが今年の秋口。
勿論本命はレッドウィング…でしたが中々コレといったモデルが見つからず。そんな時に出会ったのがこのブーツです。
ブランド自体はかなり前から気にはなっていたものの、なかなか購入まで至らなかったサンダース。それが中古とはいえ、かなりの格安で手に入ったのはラッキーでしたね。
というわけで、今回はサンダースのキャップトゥブーツをご紹介します。
サンダースの歴史と特徴
老舗の多い英国靴メーカーですが、サンダースも創業は1873年、140年以上の歴史を持つ伝統あるシューメーカーです。
世界中の警察やミリタリー、セキュリティー関係などにも採用されていることは、サンダースの品質と丈夫さを何よりも証明しています。また、英国国防総省向けに供給されるレザーシューズのほとんどはサンダース製。生産ラインの約半分をこれに当てているそうです。
これだけの上客があれば他のコレクションで必死に利益を得なくても良いのでしょうね。新品の値段で4~5万円程度と、ほかのノーサンプトンの英国靴に比べてコストパフォーマンスに優れた靴になっています。
もちろんグッドイヤーウェルト製法が採用されているので、ソールの張替えも可能。長く履けるブーツです。
サンダース キャップトゥブーツのディティール
◆外観の印象とアッパーの質感
届いた日にブラッシングと内部をアルコールで拭いてはいますが、それ以外は届いたままの現在の姿を。
前オーナーさんもきれいに履かれていたようで特段大きな傷もありません。ただ元々ついていたはずのプルトップは切り取られています。まぁ私はあまり気にしませんが。
アイレットは9つ。ドレスブーツのような数です。
特徴的なのはアッパーのレザー。「ポリッシュドレザー」と呼ばれるコーティングが施されたレザーで、いわゆるガラスレザーの一種。
ツヤツヤなんですが、コーティングが薄いのか製法が違うのか、結構レザー自体の雰囲気が感じられるような仕上げです。
穴飾りのついた「パンチド・キャップトゥ」で美しい佇まい。私の大好きな意匠です。
コードバンにも負けないツヤ感ですが、さすがにシワはコードバンの波打つようなものとは違いカーフっぽく細かいものが付いていますね。
サイドショットで目立つのはかかとのクラウンの刻印です。
昔イギリス士官が私物に自分でクラウンワークを施していたところから着想を得た、SANDERS(サンダース)独自のマーク。良いワンポイントになっています。
純正のシューレースは細目の平紐。これはこれでカッコいいんですが、通勤に使うつもりなので丸紐に交換します。断然履き脱ぎが楽ですから笑
ただハトメが小さいのでワークブーツ用の靴紐は利用できないと思ったほうがよさそうです。
◆オールデン ジャンパーブーツと比較
私にとって最高のブーツ「オールデン ジャンパーブーツ」。
同じパンチドキャップトゥで、コードバンのツヤ感があって、このサンダースとよく似た印象かと思います。
実際に並べてみたのがこちら。
サイズが違うのでサンダースのほうが大きく見えるのは当然だとして、キャップトゥの長さにかなり違いがあります。
サンダースのほうがノーズが長くドレッシーな印象。逆にオールデンのバリーラストは丸くポッコリした形。どっちが好きかと言われれば…難しいですね。どっちも好きです笑
近くで見るとシワ感は違うんですが、引きでみると一見あまり変わらないような…。新品でも値段は倍ほど違うことを考えるとかなり良いんじゃないでしょうか。
◆アウトソールは…あれ?ダイナイト?
サンダースと言えばITSHIDE社のスタッデッドソール。とにかく摩耗に強いことで有名です。
ですがこのブーツのアウトソールはダイナイト。もしかしたら前オーナーさんがオールソールされていたのかもしれませんね。ITSHIDE社のスタッデッドソール、履いてみたかったので少々残念ですが。
とはいえダイナイトも立派なソールですし、あまり気にせずに履いていこうと思います。
◆内側の状態
堂々とインソールに印字された「SANDERS」と「Made in England」の文字。
インソックが少々沈んでいるのは中古靴ならでは。オールレザーライナーで高級感があります。
側面にも色々書いてありますが…2011は製造年でしょうか?9年前の製造とは思えないぐらい良い状態です。
サイズはUK8。私にしてはちょっと大きめのチョイス。通勤用ですので履き脱ぎ重視です笑
履き始める前に…さっとお手入れ
綺麗な状態ではあっても中古靴であることに変わりはありません。軽くお手入れをして、気持ちよく履き始めようと思います。
ほとんど変化がないので写真は撮っていませんが、ステインリムーバーとお湯タオルで拭きあげて、まずはすっぴんに。ガラスレザー系はガンガンいけるので気が楽です。
で、いつもの。
デリケートクリーム。安心安全の栄養補給クリームですが、さすがにアッパーには浸透が期待できそうにないので…
レザーライナーに山ほど塗り込んでおきました。さらっとしたクリームで残滓は心配ないですし、これで内側のクラックも予防できるでしょう。
さてさて、本番のクリーム塗布です。今回選んだのは「M・モウブレイ コードバンクリームレノベーター」
ガラスレザー系には間違いなくオススメです。もともと黒を持っていたんですが、仕上がりが気に入りすぎてこの靴に合わせてボルドーを追加したほど。
早速指で直接塗り広げていきます。
両足とも塗りました。かなり伸びが悪いクリームなのでこの時点では少しゴテゴテした仕上がりに。
少しでも栄養分が浸透することを祈って、このまま数十分放置します。
写真右側(左足)だけをウエスで拭きあげました。どうでしょう。良い仕上がりです(自己満足)
靴ブラシのみで仕上げようとするとなかなかツヤが出ないので、ウエスで拭きあげるのがこのクリームのコツです。
このまま両足を拭きあげて、用意していた丸紐を通して…
完成!
もともとポリッシュレザーなので何もしなくてもツヤが出るんですが、まぁ初対面のブーツとのコミュニケーションの1つという事で笑
履き心地とサイズ感
私の足は実寸で 足長:257mm 足囲:253mm 足幅106mm 。このサンダースはUK8です。
もともとタイトフィット好きですので普段レッドウィングだとUS7.5を穿くことが多く、UKサイズだとトリッカーズもパラブーツもUK7でジャスト。
というわけで、やっぱり大きめ。その分履き脱ぎは楽なので狙い通りの結果ですね。
中敷きを入れてしっかり紐を締めれば問題なく履けるレベルです。無理をすればUK7も履けそうですがジャストはUK7.5くらいでしょうか。
安物のガラスレザーとは違いシワも自然ですし、何よりポリッシュドレザーの光沢感が素晴らしいです。
あと靴自体が少し軽めです。アイアンレンジなんかと比べると圧倒的に軽いので歩きやすく感じます。
少し歩いてみると底はダイナイトソールらしくやや硬めに感じますが、中敷きを入れた分クッション性も向上。あとは長時間の使用でどう感じるかですね。
まとめ
初めて手に入れたサンダースですが、かなり実用的なブーツといった印象を受けました。
「ポリッシュドレザー」はキズや汚れ、雨にも強く、お手入れの頻度が少なくて済みますし、重量も軽めで足への負担も少ないのでガンガン履くのにはピッタリです。
ただコードバンの代替として…というのはあまりオススメできませんね。シワ感含め雰囲気は相当違いますし、エイジングの方向性も別物でしょう。
寿命が短いともいわれるガラスレザーの耐久性は少々心配でもありますが、この靴は製造からすでに9年が経過しているようです。今のところ塗膜の剝がれはありませんし、それらしい傾向も見て取れません。このあたりはSANDERSの品質の高さでしょうか。さすがです。
このまま通勤用ブーツのローテーションに入れるつもりなのでエイジングの進行も楽しみの一つ。変化があればまたこのブログで紹介したいと思います。それではまた。
with fullcount/1109xx