私が所有する唯一の黒ストレートチップ。
前回のお手入れからすでに1年半ぐらいは経過しています。ほとんど出番は無いとはいえ、それでも3回ぐらいは履いていますので、そろそろお手入れを…
ということでまずはお掃除から。
いつものようにクリーナーを使って
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??
…
…いつまでたってもウエスが黒く染まります。
実はこの靴、自分で染め直した1足でして。
まぁ色々あったものの、最終的な仕上がりには大満足していたんです。
ただ数か月前、「色落ちはありませんか?」というコメントをいただいた時から、心の奥底に薄っすら不安を感じていたんですよね。
そこに今回のメンテナンス。
このままだと茶色と黒が混ざり合ったワーク感溢れるストレートチップになりそう…
「やっぱ色止めは必要かも」
色止め剤の代わりは…
これまで私が革靴を染める場合は、自然な仕上がりになることを期待して、染料のみで終了していました。その方が革の表情も自然ですし、靴クリームの浸透も邪魔されません。ただ、時間の経過で退色は免れませんし、芯まで染まっていない分、長く履くと元の革の色が出始めます。
ワークブーツだとそれもカッコ良いと思うんですが、今回はフォーマルな紳士靴です。さすがに「茶芯」になった!とか言って喜んでいられませんよね笑
本来、レザークラフトでは仕上げとして水溶性のアクリル剤でコーティングすることで、色移りを防ぐのが基本です。
ということは、コイツでもいけそう??
アドカラーを塗りたくる!注意点は…
ややしっかりめにクリーナーで油分を拭き取って、準備完了です。
用意したのはアドカラーの黒と100均で買った筆。同じく100均の小皿に出して、水で薄めて塗っていきます。
結構水をいれました。10倍ぐらいには希釈したでしょうか。
塗装の基本は「薄目に、何度も重ねて」塗る事。そうすることでムラが無く、美しい仕上がりになります。
加えて、今回は少しでも自然な仕上がりにしたい、コーティング感を出したくない、という欲張りな願いも込めています笑
さて、いきますか…
べたぁ。
何というか…背徳感があるんですよね。この作業って。
あと、服にこぼしたら本気で取れないので要注意です。ちなみにこの時の私は下着のみ。自室にはクーラーが無いので丁度良いかも。
ほぼ裸で汗をかきながら靴に色を入れる私。
時々カメラのシャッターを切る私。
作業が楽しくてにやける私。
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・・・どう考えてもやべーヤツです。
そんなこんなで30分ぐらいで塗装完了。
お?
うん。
なんかグレーに見えます。これ大丈夫なん?
塗装完了!コーティング後にクリームは入る?
染料で染め替えた直後もこんな色味だったような気がします。
あの時はオイルとクリームで復活したはず…
まずはデリケートクリームから。
グリグリ
…グリグリ
う~ん。
ガラスレザーのように完全に弾いているわけではないんですが、スーッと吸っていく感覚はありませんね。色味も少し濃くなったかな、という程度の変化です。
前向きに捉えるときちんとコーティングされた、ということかもしれません。
続いて靴クリーム。
勿論ここはしっかり艶がほしいのでこれで決まりです。
とはいえやっぱり浸透は控え目な感じ。
全体にクリームを入れて少し長めに時間を置きます。ちょっとでもクリームが入ってくれれば…
お昼ご飯を食べてたら2時間経過してました。
浸透時間としては十分すぎるでしょう。
うぉぉぉ~!
化繊ブラシでこれでもか、ってぐらい擦りまくります。
写真でも少しずつ光ってきたのが分かります。
最後に余分なクリームをネル生地のウエスで丁寧に拭き取って、いよいよ完成。
質感は?色の変化は??
靴紐を通した状態がコチラです。
ドン!
漆・黒っ!
正直染料のみで仕上げた状態だと、少しだけムラっぽい感じなので黒ワックスで補色したりしていたんですが、今回はワックスも無し。
靴クリームのみで礼服でもイケるレベルの黒になってくれたのは嬉しい誤算です。
もう少しアップも。
ガラスレザーほどツルツルテカテカ、という印象はありません。革の質感は保っています。
薄塗りの成果でしょうか、いい感じです。
履いた時に入るシワもまぁまぁ自然。
なによりコーティングが割れる気配が全く無いので一安心です。
正面から見ると少し硬めの艶に変化したように感じますね。コーティングが影響しているのは明らかです。
ただ、フォーマルな黒のストレートチップですから。むしろこのぐらいの艶はあったほうが良いかも。
まとめ
ワークブーツのようにアバウトな仕上がりを良しとしない「黒ストレートチップ」。そのせいで何回も何回も試行錯誤を続けながら手を入れてきましたが、今回が本当に最終版の決定版です笑
フォーマルにもしっかりハマる艶、どこから見ても完全な黒となったこのカラー。もうこれ以上は望めないほどの満足感です。
結論。
染め替えは、染料+アドカラーが最強。
ということで。それではまた。