レザーブーツを丸洗いしよう!①-洗浄と乾燥編ー

せっかくのゴールデンウィークだったんですが、今年は例の騒ぎで外の出るのも憚られました。かといって家で出来る事も多くはなく、梅雨前のこの時期にブーツをオイルアップするのも気が引けます。ただ、一つだけ連休になればやろうと思っていた事が。

「ブーツの丸洗い」

今までも何度かやったことがあって成功も失敗も経験済み。稀に失敗することがあるので基本は中古ブーツが対象になります。

我が家で丸洗いをしていない唯一の中古ブーツ、Dutch officer boots/オランダ軍靴です。詳細はこちら

中古で購入したので、本当にオランダ軍が使用していたかどうかは不明ですしそれほど興味もないんですが、一応そのように紹介されたものを購入したので、便宜上の名前のようなものです。メーカー名も分からないので。

某フリマアプリで購入しましたが思っていたよりきれいな状態でした。当時は最低限の消毒のみで履き始めましたが、今回良い機会ですので。

爽やかなこの季節になるとブーツの丸洗いがしたくなるんですよね。

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丸洗いのメリットと注意点

エンジン等を分解・整備する際に、こびりついた黒いオイル汚れは何で落とすかご存知でしょうか?

それは灯油です。つまり油汚れは油で落とすのが一番効果的なんです。これはブーツの場合も同じで、無色の靴クリームにクリーナーとしても使用できると書かれていることでもご理解いただけるかと思います。

ですので、水洗いで落とす汚れは基本的には水溶性のものになります。革に染み込んだ汗や塩分、ライナー表面についた皮脂汚れも落とせるでしょう。ただ、アッパー表面に蓄積されたオイル汚れやオイルの染みなどは完全には除去することはできません。これを無理に取ろうと擦りすぎると、表面がボロボロと崩れて取り返しがつかなくなります。←経験者です・・・

洗い上がりは本当にさっぱりしますし、それだけでもやる価値は充分あると思いますが、一番のメリットは他にあります。それはレザーの発色です。普段のケアで取りきれていないクリーム類の蓄積がリセットされる事で、革自体の色が明るくなると同時に、新しいクリームのノリが「断然」良くなるんですよね。これがクセになるんです。

一方で水洗いで最も注意しなければいけないのが、「革の硬化」と「型崩れ」です。

革は水を通し乾燥すると内部の水分と油分を同時に失い収縮します。その結果、最悪の場合クラックが発生する事も。ですので私が丸洗いするときは、乾燥工程の適切なタイミングで油分を補給し、革の硬化を最低限に抑えるようにしています。また、乾燥時は形を整えて干す事で出来るだけ型崩れを防止するつもりです。

丸洗い前の状態

日々のブラッシングのおかげか、それほど汚れは目立ちません。アッパーにも柔軟性が感じられます。

個人的には柔軟性を失った、乾燥した状態の革靴は丸洗いすべきでは無いと思っています。おそらく乾燥に耐えられずパキパキとクラックだらけになるでしょうね。

蓄積されたクリームのせいか、爪先はまだら模様に。このままでも味があっていいかなとも思いますが、スッピンにすればどうなるのか楽しみでもあります。

右足も左足も色ムラはありますが革自体には大きな問題は無さそう。

ソールのアーチ部分、黒い塗料が取れていますね。ここは丸洗いの後、再度染色してみようかと思います。

シューレースを取ってステインリムーバーで表面をきれいにしました。丸洗いのとき水を弾かないようにする為でもあるので、念入りに。

 

丸洗い本番!

使用するのは「レクソル レザークリーナー」です。有名なサドルソープはアルカリ性ですが、こちらは中性。より革に優しいクリーナーです。

本来は濡らした靴の表面を泡立てたスポンジで軽く擦り、少し経ってからウェスで泡を拭き取るというもの。洗い流す手間も無く便利な商品です。

今回は丸洗いのため、クリーナー3プッシュをぬるま湯で薄め、大きめなトレイに洗浄液を作ります。

で、そこにブーツをダイブ。・・・この瞬間がたまりません!

なんだかお風呂に浸かっているブーツを眺めている感覚・・・

写真では上部が見えてますが、この後は横に倒してブーツ全体がお湯に浸るようにして2時間ほど放置です。

ブーツの丸洗い、最初はビビリながらやってましたが、今はこの状態にするのが楽しいんですよね。洗い上がりを想像するのは勿論、ブーツを水に漬け込むこと自体がワイルドな感じでクセになります。どうやらこの遊びには中毒性があるようで笑

2時間後。お湯はこんな色に。おそらくほとんどは染料が溶け出た色だと思いますが、それなりに汚れも出て行ったはず。頃合ですね。

お湯から引き上げたブーツの表面を改めて泡立てたレザークリーナーで洗っていきます。スポンジは専用のモノもありますが、私はキッチンにあった適当なもので。柔らかい方で撫でるように優しく擦ります。水分を含んだ革は柔らかく、とても傷つきやすいので力加減には要注意です。

 

乾燥は陰干しで

洗い終わり、軽くシャワーですすぎました。水分を含んだ革はモチモチとしてかなり重くなっています。乾燥時間を短くしたいので、押し出すようにタオルなどで水分を吸い取っていきます。このときも擦るのはNG

ある程度水分を切ったら内側に新聞をつめて陰干しします。新聞紙は内側の水分を吸着させるのに加え、型崩れ防止の役目もあるのでパンパンに入れるのがポイントです。しっかりと形を整えて風通しの良い日陰で放置。

詰めた新聞紙は1時間程度で濡れてくるのでコマメに交換しますが、2~3回交換すると落ち着いてくるのでその後は交換までの時間を長くしていきます。

外で見ても水分を含んだアッパーの色味は相当濃くなっていますが、乾いてくると薄くなってくるので大丈夫。

本来はヒール側を下にしたほうがヴァンプに皺を付けずに乾燥させることが出来ます。今回つま先側を下にした理由は特にありません。強いて言えば、写真映えがしそうだったんで笑

このまま中に詰めた新聞紙を適宜交換しながら1~2日放置します。ただ乾燥具合を見てデリケートクリームなどで油分を補給する予定です。

 

おわりに

長くなるので今回はここまで。次回は乾燥後のお手入れを。ちなみに靴の内部まで完全に乾くまで1週間ぐらいかかりますので、ゆっくり待とうと思います。

それにしても約1年ぶりのブーツの丸洗い、やっぱり楽しいです!

この時点で成功するかどうかも定かではないんですが、乾くのを待っているこの時間は、期待と不安が入り混じってワクワクします。さてこのブーツ、無事生還できるのでしょうか?後編も近々アップしますのでぜひご覧頂ければっ笑

それではまた。

 

追記:完結編、アップしました。あわせてどうぞ!

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